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not solid enough

十分に硬くはないことついて


[ 概要 ]

コンピュータを使ってシミュレーションすることで得られるかたちに興味があった。

また、かっこよくデザインされたものであっても、 使っているうちに劣化してしまって変形してしまって、
いつからか、かっこよくなくなるタイミングがあって、 現実世界は、もっと流動的で、不定形で、リアルで、という気持ちもあった。

さらに、そのかっこよくなくなってしまったかたちを、
普通の CAD の、普通のモデリング方法では、 モデリングできないモデリングしにくいというもどかしさも感じていた。

それらを踏まえてこれらの物体群を、コンピュータ上で物理シミュレーションして、
その結果の3D ジオメトリのポリゴン数の削減をしてから、2次元展開し、レーザー加工でケント紙を切り抜き組み立てた。

  • 使い古されて潰れかけた紙袋
  • 脱ぎ捨てられ、椅子にかけられた服

さらに、物理シミュレーションを応用して、
もし、お餅のように柔らかい物性のものがあったら、という什器を製作した。


not solid enough

十分に硬くはないことついて

十分に硬くはないことついて

まず卒業制作はコンピュータでプログラムを書いて何かするということは先に決めていて、
それは自分の好きな作家や、大きな影響を受けた作品として、グレッグリンのもにょっもにょと動く住宅(これ)であって

あとは、今年ちょうど将棋名人位の佐藤天彦と、
囲碁のイ・セドルが、コンピュータに負けたっていうタイミングも多分あって
コンピュータの演算能力を使って何かしようという感じで決まった。

それにくわえて、
その辺で個人的な興味として、
かっこいいカタチのデザイン以外の、
使っていると変形してしまって汚いタイミングってあるなっていう
現実生活はもっと流動的で不定形でリアルで辛いっていうことがあって

さらに、そういうものを、普通の CAD の、普通の方法では、
モデリングしにくい、モデリングできないというもどかしさもありつつ、ということもあった。

作品について
これらの物体群について説明すると

  • 脱ぎ捨てられた服
  • 使い古されて潰れた紙袋
  • 柔らかい物体を置いたら、という、什器

です。

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これらは物理シミュレーションとして重力や衝突、自己交差などを演算し、
ローポリゴンに落とし、ファブリケーションされている

前者の2つは生活している中でのピックアップ
後者の1つは良い意味で気味の悪い物性のオブジェ

これら、どれも佇まいが謎で、個人的に好き

あとは、プロダクションの設計として
のりしろをアルゴリズム化してプログラミングまとめて処理
規格品のマスプロダクションではなくて、
ユニークなピースを比較的ローコストで生産できるレーザーカッターのポテンシャル、うまく使う
綺麗で精緻な模型のために、障子を大量に切れるとか、そう言う認識だけだと勿体ない

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まじでコンピュータはすごい
僕も含めて先生方が思ってるコンピュータのポテンシャルも多分全然甘い
もっとすごい

物理シミュレーションや、ジオメトリ操作のエンジニアリングではなくても、
それこそ建築の与条件を集めるための新しいシステムやデバイス、
スマートフォンとFacebook、ツイッター、インスタグラムのジオタグ位置情報なんでもできる
ただのCADオペとか思ってるとやばい

新しい作り方、調査でも設計でも生産プロダクション、建築やランドスケープで言えば建設コンストラクションでも
それこそ、インスタレーションの照明やモーターみたいなハードウェアでもなんでも
そういうあたりを攻めていきたい


(これより下はメモ)

いわゆるデザインという仕事では、
使われ方を想定してスマートなかっこいいものを
しかし、実際のものとなった時には使われ方の想定の範囲の外の状態に置かれることも多々ある
丸めてゴミ箱に投げ入れる紙や、
脱ぎ捨てられた服の形をわざわざ考えることもあまりない

いくら想定する範囲を広げても、現実世界はもっと流動的で全てを考えることはできないし、
デザインとして扱う対象として
どうしても扱いにくい領域、扱いにくい質というものがある。

そして、カタチというものはある理由、因果をもって生まれると思っているが、
デザインにおいては使われ方の想定を先にして先回りして作られる

今回具体的なものとして

  • 変形を許容する紙袋
  • 変形されたカタチをデザインするわけではない服
  • 変形をするお餅のようなものをモチーフとした家具もしくは什器
  • ドレープが生まれるような柔らかな薄い壁のようなもの
    を作った。

これらは重力や衝突などが発生したことを物理シミュレーションしている。

また、デジタルファブリーションの発展によって可能となった、
ユニーク部材をプロダクションするという部分でも、折込線の点線化、
のりしろの生成の部分はアルゴリズムを組んで自動で処理することなどの、プロダクションの設計を行った。

一連の制作において、
変形などの計算、プロダクションのための作業など、
大部分の演算部分をコンピュータにやらせている。

物理シミュレーションやプロダクションのまでのデータ作成以外にも、
可能性として例えば、 空間を計測、空間を観測する手法や、設計ツールの開発など、
手のバージョンアップ、脳みそのバージョンアップとして、
デザインの仕事のうち、
もっとコンピュテーション可能な部分を考えていきたい。

もう少し、硬さについて言及すると
三角形のポリゴンは、座標系でただひとつのものとして定義できるので、
これは、極めて硬いオブジェクトである
しかし、紙とホチキスでのアセンブリや、
施工精度によるずれによって
妙なやわらかさ、
絶妙な

見た目や使われ方を考えるデザインという行為を、少し拡張し、形の決め方や、生産の仕方をも

のりしろの生成はプロダクションにおけるデザイン

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