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Windows 用 (MinGW/Cygwin) GNU Emacs でダイナミックモジュールの機構を利用し、 IME パッチ無しの公式バイナリなどでも、 IME による日本語入力を使いやすくします。
Emacs 28 以降で standard 版の tr-ime を使う場合は ダイナミックモジュールが不要となり Emacs Lisp のみで動作します。 advanced 版の tr-ime を使う場合は引き続きダイナミックモジュールを利用します。
※注意:バージョン 0.3.0 (2020-09-25) から 0.4.1 (2020-11-28) へかけて、 パッケージ名、ファイル名、関数名、変数名、設定方法などを整理して変更しました。
GNU Emacs 26.2 から、 IME パッチがなくても MS-IME などの IME (input method editor) による日本語入力が「とりあえず」できるようになりました。 しかし IME パッチ無しだと、Emacs 自前の かな漢字変換 (IM: input method) と IME が連動しないため、
- IME を on/off してもモードラインのかな漢字変換状態表示が変わらない
- IME on で使っているとき、
状況に応じて自動的に IME off してくれる機能が無く、
直接入力したいキーが IME に吸われて未確定文字になってしまう
- ミニバッファでの y/n 入力
- M-x によるミニバッファでのコマンド名入力
- など
- C-\ (toggle-input-method) すると IME ではなくて、 IM による Emacs 独自の日本語入力モードになってしまい、 他の Windows アプリと操作感や変換辞書が異なるため使いにくい
という問題があり使いにくくなってしまいます (他にもあると思いますが、個人的に困った部分のみ列挙しています)。 IME パッチの方が便利なのは間違いありませんが、 Emacs リリースのたびに煩雑なことをしなければならなかったり、 場合によっては IME パッチによって Emacs が不安定になってしまうこともあります。
そこで、全世界のユーザが使っている IME パッチ無しで安定した Emacs バイナリを使い、上記のような問題を解消できる最小限を目指します。 幸い、GNU Emacs 27.1 からダイナミックモジュールが デフォルトで有効になったので、これを使って IME 関連の実装を追加します。
同様の試みに w32-imeadv がありますが、 これは IME パッチの機能を完全に再現して置き換えることを目指しているようで、 C++ 実装のモジュールによって、それなりに複雑で大がかりな機構 (外部プロセスを経由したスレッド間通信など)を備えています。 一方で IME パッチで UI や設定をつかさどる要の部分ともいえる Lisp 実装 w32-ime.el が使えるわけでは無いので、こうした部分は異なってしまっています。
本プロジェクトでは、安定性を重視するため、 モジュールの実装は必要最小限として複雑な実装をしない standard 版を用意しています。 standard 版は IME パッチの全機能を再現することはできません。 逆に UI や設定など従来の IME パッチと同じようにしたいため、 w32-ime.el を、ほとんどそのまま使えるようにします。 さらに、standard 版だとやっぱり使いにくいところもあったので、 機能を増やしていった advanced 版も用意しています。
- Windows 用 (MinGW/Cygwin) GNU Emacs
- IME パッチは不要です
- GNU Emacs 27.1 以降が必要です
- ダイナミックモジュールが有効になっている必要があります
- GNU Emacs 27.1 からデフォルトで有効です
- Cygwin 64 bit
emacs-w32
28.1-1 で動作確認しています
- emacs-w32 28.1-2 でも動作するようですが、常用していないので 気が付いていない不具合があるかもしれません
- emacs-w32 27.2-1, 27.1-2, 27.1-1 でも動作していました
- Cygwin 32 bit でも動作しましたが、常用していないので 気が付いていない不具合があるかもしれません
- MinGW 64 bit では
GNU 公式バイナリの 28.1 や、GNU が配布する pretest の
29.0.50-snapshot-2022-04-02 バイナリで動作しました
- GNU 公式バイナリの 27.2 (64 bit/32 bit), 27.1 (64 bit/32 bit) でも動作していました
- MinGW は常用していないので 気が付いていない不具合があるかもしれません
MELPA に収録されたため、Emacs からインターネットにアクセスできるなら MELPA を使う方法が簡単です。
MELPA の設定をしていないなら、まずは MELPA の設定をしてください。 設定済なら次の「インストール」へ進んでください。
とりあえず私は以下を ~/.emacs/init.el
に書いています。
(package-initialize)
(customize-set-variable 'package-archives
`(,@package-archives
("melpa" . "https://melpa.org/packages/")))
余談ですが、Emacs 27 で何らかのパッケージがインストールされている場合、
~/.emacs/init.el
開始時には既に package-initialize
された(インストール済パッケージが有効化された)状態になっているようで、
package-initialize
を呼ぶ必要はありません。
しかし、何もパッケージがインストールされていない場合は
package.el すらロードされないため変数 package-archives
に customize-set-variable
しようとするとエラーになってしまいます。
package-initialize
は実行済みなら再度実行しても何もしませんし、
package.el がロードされていなければ autoload してくれるので書いています
(また、tr-ime は対応しませんが
Emacs 26 だとパッケージがインストールされていても ~/.emacs/init.el
開始時には package.el がロードされていないので、Emacs 26 と 27
で設定を共有するならやはり書いておいた方がよいと思います)。
なお、変数 package-archives
の値は package-initialize
の動作には影響しないため、package-initialize
の後で
package-archives
を変更しても問題ないと考えています。
MELPA が使えるようになっていれば、
M-x package-refresh-contents
で最新のパッケージ一覧を読み込んでから
M-x package-install
して tr-ime
を入力すればインストールできます。
あるいは、~/.emacs/init.el
で MELPA の設定の後へ以下のよう書いておくと、
インストールされていなければ
最新のパッケージ一覧を読み込んでからインストールする、
という動作ができます。
(unless (package-installed-p 'tr-ime)
(package-refresh-contents)
(package-install 'tr-ime))
tr-ime には、最低限の単純で基本的な機能のみを実装した standard と、 メッセージフックやサブクラス化といった多少複雑な機構で、 より高度な機能を実装した実験的な advanced の 2 つがあります。 安定性を取りたい場合は standard を、 実験的でもいいから高度な機能が欲しい場合は advanced を選んでください。 両方を同時に使うことはできません。
advanced の機能は以下の通りです。
- 再変換 (RECONVERSION) および
前後の確定済文字列を参照した変換 (DOCUMENTFEED)に対応
- standard ではどちらもできません
- もし不安定になるようなら advanced でも設定で無効にすることができます
- すべての IME on/off 方法にタイムラグなく対応
(IME 状態変更通知による IME/IM 状態同期)
- standard では Alt + 半角/全角キー(もしくは C-\)による IME on/off なら問題ありませんが、 半角/全角キー単独やマウスで切り替えた場合には、 タイマによるワークアラウンドで IM 状態との食い違いを解消しており、 状態同期にタイムラグが発生するほか、 ワークアラウンドによる負荷がかかります
- C-s など isearch-mode の検索中に未確定文字列をミニバッファの
文字入力位置に表示できる
- standard は、 isearch-mode へ入る前に元々入力していた位置へ表示されます
- 未確定文字列のフォントが設定できる
- standard は設定できないため、 変換中は☃や🍣のような文字がおかしな表示(いわゆるトーフ)になります
- IME on の状態で C-x, C-c, C-h など、
コマンドのキーシーケンスになる最初の文字(以下、プレフィックスキー)
を押すと自動的に IME off になる
- standard はタイマ動作によるワークアラウンドで なんとか同じような動作を実現していますが、 タイマ動作なのでタイミングによっては自動 off にならない、 負荷が問題となる、などの可能性があります
- IME on/off 制御や状態取得に Microsoft
の公式なドキュメントに記載されている方法を使用
- standard は(Emacs 27 の場合) 公式ドキュメントに記載されていない方法を使用しているので、 最悪の場合は Windows のアップデートなどにより、 いきなり動かなくなる可能性もあります
- Emacs 28 なら standard でも問題ありません
- IME on/off に連動してタスクバーの IME 状態表示アイコンが切り替わる
- standard はもちろん IME パッチでも Windows 10 1909 などの MS-IME で使っているとアイコン表示が変わりません
- Windows 10 20H2 などの MS-IME だと standard でも問題ないようです
どちらの設定であっても、必要なモジュール DLL が見つからない場合は ダウンロードするか否か尋ねてきますので、よければ y を選んでください。 (自動ダウンロードが嫌であれば n を選び、 必要なモジュール DLL のファイル名を確認して、 そのファイルを load-path 上に置いてから再度実施してください。) Cygwin の場合は、後述の「autorebase 設定(Cygwin のみ)」もしてください。
また、ここでは MEPLA でインストールした時の、 必要最低限の設定のみを示しています。 より使いやすくするためには後述の「w32-ime.el 設定」や 「tr-ime 詳細設定」をご覧ください。 MELPA 以外でインストールした場合は 後述の「MELPA を使わない」をご覧ください。
(tr-ime-standard-install)
(setq default-input-method "W32-IME")
(w32-ime-initialize)
(tr-ime-advanced-install)
(setq default-input-method "W32-IME")
(w32-ime-initialize)
ここまでに示した必要最低限の設定をしたら、
モードラインの左端に [O]
または [|]
が表示されるようになります。
[O]
は IME が off であることを示し、
[|]
は IME が on であることを示します。
IME の on/off トグルは、Emacs 流の C-\ でもできますし、 Windows 流の「半角/全角」キーでも、 古い Windows 流の「Alt + 半角/全角」キーでもできます。
IME on の時は、MS-IME など Windows の IME を使った日本語入力が可能です。
tr-ime は従来の IME パッチで UI や設定をつかさどっていた、 w32-ime.el を、ほとんどそのまま使用しています。 ですので、従来の IME パッチの設定の多くを使うことができます。
ただし、standard で使用する場合は
(global-set-key [M-kanji] 'ignore)
をしないでください
(advanced なら問題ありません)。
w32-ime.el の必要最小限の設定は、
(setq default-input-method "W32-IME")
(w32-ime-initialize)
ですが、これを以下のような、 よく見かける IME パッチの設定に置き換えると、 より使いやすくなります。
;; IM のデフォルトを IME に設定
(setq default-input-method "W32-IME")
;; IME のモードライン表示設定
(setq-default w32-ime-mode-line-state-indicator "[--]")
(setq w32-ime-mode-line-state-indicator-list '("[--]" "[あ]" "[--]"))
;; IME 初期化
(w32-ime-initialize)
;; IME 制御(yes/no などの入力の時に IME を off にする)
(wrap-function-to-control-ime 'universal-argument t nil)
(wrap-function-to-control-ime 'read-string nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'read-char nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'read-from-minibuffer nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'y-or-n-p nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'yes-or-no-p nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'map-y-or-n-p nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'register-read-with-preview nil nil)
必要最小限の設定では、モードラインが
IME off のときは [O]
、IME on のときは [|]
となりますが、
上記設定をすると、それぞれ [--]
[あ]
になります。
また、ミニバッファでの yes/no 入力待ちなどのときには、
自動的に IME off にして、抜けたら IME 状態を復帰するようになります。
なお、tr-ime が使っている
w32-ime.el
の
MELPA 掲載版
では、wrap-function-to-control-ime
関数について
コーディング規約に従うため名前変更
して、w32-ime-wrap-function-to-control-ime
関数として、さらに
実装方法や引数も変更
しています。
後方互換性確保のため、従来版の名前・引数でも動作するように配慮しているので、
IME パッチ環境など従来版の w32-ime.el が存在する環境と同じ設定を使うには、
上記のような従来版と同じ使い方で良いと思います。
従来版とは関係ない独立した設定なのであれば、
下記のように新しい名前・引数で設定してもよいと思います。
;; IME 制御(yes/no などの入力の時に IME を off にする)MELPA 掲載版用
(w32-ime-wrap-function-to-control-ime 'universal-argument)
(w32-ime-wrap-function-to-control-ime 'read-string)
(w32-ime-wrap-function-to-control-ime 'read-char)
(w32-ime-wrap-function-to-control-ime 'read-from-minibuffer)
(w32-ime-wrap-function-to-control-ime 'y-or-n-p)
(w32-ime-wrap-function-to-control-ime 'yes-or-no-p)
(w32-ime-wrap-function-to-control-ime 'map-y-or-n-p)
(w32-ime-wrap-function-to-control-ime 'register-read-with-preview)
C-s (isearch-forward) などの IME パッチ向けの設定についてです。 よくある設定の、
(defun w32-isearch-update ()
(interactive)
(isearch-update))
(define-key isearch-mode-map [compend] 'w32-isearch-update)
(define-key isearch-mode-map [kanji] 'isearch-toggle-input-method)
(add-hook 'isearch-mode-hook
(lambda () (setq w32-ime-composition-window (minibuffer-window))))
(add-hook 'isearch-mode-end-hook
(lambda () (setq w32-ime-composition-window nil)))
ですが、
モジュール環境では [compend]
も [kanji]
も送られてきませんし、
w32-ime-composition-window
も使いませんので、
あまり意味がありません。
ほとんど害も無いので IME パッチ環境と共用の設定ファイルならば、
書いておいても特に問題ないと思います。
IME の未確定文字列のフォント設定は、
IME パッチと同様にフレームパラメータ ime-font
を設定しておけば、
フォーカス切り替え時(デフォルト設定の場合)に反映されます
(IME パッチの場合はフレームパラメータに設定すると、
即座に反映されます)。
generic ファミリ(serif
, sans-serif
, monospace
など)
は指定できません。
IME パッチ向け設定例でよくある default-frame-alist
へ設定しても構いませんが。
これだとこれから新しく開くフレームにしか効果がありません
(IME パッチでも同じです)。
既存の全フレームに同じ設定をして、
さらに新しいフレームでも同じ設定にするには、
以下のようにするとよいでしょう(IME パッチでも効きます)。
(modify-all-frames-parameters '((ime-font . "MS Gothic-12")))
なお、フレームパラメータの font
(フレームのフォント設定)から
ime-font
へ設定をコピーするのは、あまりお勧めしません。
MinGW の場合は大丈夫かもしれませんが、
Cygwin の場合はフレームパラメータの font
が文字化けしていることがあり、
文字化けした内容をそのまま ime-font
にコピーしても設定できません。
双方に同じ設定をしたければ、
以下のように同じ文字列をそれぞれ設定することをお勧めします。
(set-frame-font "MS Gothic-12" nil t)
(modify-all-frames-parameters '((ime-font . "MS Gothic-12")))
蛇足ですが、Cygwin でフレームパラメータの font
が文字化けを起こすのは、
変数 local-coding-system
が cp932
になっていないからのようです。
MinGW ではデフォルトで cp932
なので化けないようです。
Cygwin でもこれを cp932
に設定してからフォント設定すれば
MinGW と同様に化けなくなるようですが、そうすると Cygwin 由来の文字列は UTF-8
のハズなので、こんどはそっちが化けてしまうのではないかと思っています。
さらに蛇足ですが、これを何とかする
UTF-8 対応改善実験
もあるにはありますがあくまでも実験なので常用はできないと思います。
デフォルトでは、バッファ毎に IME 状態の on/off を保持していて、 バッファを切り替えると、それに応じて IME 状態も切り替わります。
これを、全バッファで一つの IME 状態としたい場合には、 以下のようにすればできます。
(setq w32-ime-buffer-switch-p nil)
ただし、本設定はあまりメンテされてこなかったようなので、 おかしなことになるかもしれません。
モジュール環境か IME パッチ環境かで設定を分けたいなら、
(tr-ime-standard-install)
または (tr-ime-advanced-install)
の後に以下のようにしてください。
(cond ((and (boundp 'tr-ime-enabled-features)
(eq tr-ime-enabled-features 'standard))
;; standard 環境用
(message "tr-ime standard"))
((and (boundp 'tr-ime-enabled-features)
(eq tr-ime-enabled-features 'advanced))
;; advanced 環境用
(message "tr-ime advanced"))
((or (subrp (symbol-function 'ime-get-mode))
(and (fboundp 'tr-ime-detect-ime-patch-p)
(tr-ime-detect-ime-patch-p)))
;; IME パッチ環境用
(message "IME patched"))
(t
;; いずれでもない環境用
(message "others")))
モジュール環境と IME パッチ環境のみで w32-ime.el の設定をしたいなら、
(tr-ime-standard-install)
または (tr-ime-advanced-install)
の後に以下のようにしてください。
(when (featurep 'w32-ime)
;; w32-ime.el の設定
(message "w32-ime settings"))
(tr-ime-standard-install)
や(tr-ime-advanced-install)
自身はウィンドウシステムが w32 であることや、
IME パッチが存在しないことを確認してから動作しますので、
他の環境と共通の設定に書いていただいても大丈夫です。
Emacs をデーモンモードで使う(コマンドラインオプション --daemon
)場合や、
コンソールで使う(コマンドラインオプション -nw
)場合は、
選択されたフレームが w32 ではない状態で ~/.emacs.d/init.el
がロードされます。
しかし tr-ime や w32-ime.el の設定は w32 であることを前提としているため、
これまでのような単純な設定だとおかしくなってしまいます。
また、デーモンモードで起動後に後から emacsclient -c
などにより
w32 フレームを作るとそれらの設定がされていない状態になってしまいます。
これはフォントなど他の
w32 フレームに対する設定についても同様のことが言えます。
そこで、デーモンモードなどで使用したいのであれば、
例えば以下ように w32 フレームに対する設定を関数化しておき、
emacsclient -c
で w32 フレームが作られたときに呼ばれるノーマルフック
server-after-make-frame-hook
に加えておくことで
これらの問題を回避できます。
;; w32 フレームの設定をする関数
(defun my-w32-frame-setup ()
(when (eq (framep (selected-frame)) 'w32)
;; 1 回だけ設定すればよいので、今後は呼ばれないようにフックから外す
(remove-hook 'server-after-make-frame-hook #'my-w32-frame-setup)
;; フォント設定
(set-frame-font "MS Gothic-12" nil t)
(modify-all-frames-parameters '((ime-font . "MS Gothic-12")))
;; tr-ime
(tr-ime-advanced-install)
;; w32-ime 設定
(when (featurep 'w32-ime)
;; IM のデフォルトを IME に設定
(setq default-input-method "W32-IME")
;; IME のモードライン表示設定
(setq-default w32-ime-mode-line-state-indicator "[--]")
(setq w32-ime-mode-line-state-indicator-list '("[--]" "[あ]" "[--]"))
;; IME 初期化
(w32-ime-initialize)
;; IME 制御(yes/no などの入力の時に IME を off にする)
(wrap-function-to-control-ime 'universal-argument t nil)
(wrap-function-to-control-ime 'read-string nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'read-char nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'read-from-minibuffer nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'y-or-n-p nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'yes-or-no-p nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'map-y-or-n-p nil nil)
(wrap-function-to-control-ime 'register-read-with-preview nil nil))))
;; 選択されたフレームが w32(通常の起動)ならフレームの設定をする
;; w32 でない(コンソールかデーモンモード)なら設定関数をフックへ追加する
(if (eq (framep (selected-frame)) 'w32)
(my-w32-frame-setup)
(add-hook 'server-after-make-frame-hook #'my-w32-frame-setup))
MinGW Emacs は 1 つの Emacs プロセスでコンソールと w32
を混在させることができない
(フレームが一つも無い状態で -c
無しの emacsclient
しても
新しい w32 フレームが作られる、w32 フレームがある状態で
emacsclient -nw
しても新しい w32 フレームが作られる、
コンソールで Emacs が起動している状態で emacsclisent -c
しても
元のコンソールの方で開かれる)
ようなので、上記設定があれば特に問題なくなるのではないかと思います。
Cygwin Emacs は混在させることができる
(フレームが一つも無い状態で -c
無しの emacsclient
すると
そのコンソールで開かれる、w32 フレームがある状態で
emacsclient -nw
するとそのコンソールで開かれる、
コンソールで Emacs が起動している状態で emacsclisent -c
すると
新しい w32 フレームが作られる)
ようなのですが上記設定があっても混在は避けてください。
tr-ime や w32-ime.el の設定をしてあると
コンソール内での IME の扱いがおかしくなりそうです。
tr-ime はモジュール DLL を使うため、 Cygwin の場合は rebase が必要となります。 MELPA でインストールしても、バイナリをインストールしても、 自動ダウンロードでも、自分でビルドしても、 rebase が必要です。 手動で rebase した場合は autorebase の対象にならないため、 Cygwin インストーラの autorebase が走ると衝突してしまう可能性があります。 そこで、手動で rebase するのではなく autorebase の設定をします。 (Cygwin パッケージとしてインストールした場合は、 いちいち設定しなくても autorebase の対象になりますが、 残念ながら Cygwin パッケージにはなっていません。 Cygwin 公式パッケージにするには、 パッケージメンテナ 5 人の賛成が必要 です。確保できそうならぜひ教えてください。)
MELPA で tr-ime をインストールして、
モジュール DLL を自動ダウンロードした場合、
モジュール DLL のファイルは ~/.emacs.d/elpa/tr-ime-YYYYMMDD.XXXX
というような名前のディレクトリに格納されます。
このディレクトリは、tr-ime をアップデートすると変わってしまい、
そのたびに autorebase の設定をやり直す必要がでてきてしまいます。
そこで、モジュール DLL のファイル(拡張子が .dll
のファイル)を、
固定の名前で load-path にも含まれているディレクトリへ
移動させることをお勧めします。
移動させたら、
その移動先のモジュール DLL ファイルに対して autorebase 設定をしてください。
モジュール DLL を置いてあるディレクトリを
/usr/share/emacs/site-lisp/tr-ime
として説明します。適宜お使いの環境に読み替えてください。
/var/lib/rebase/dynpath.d
に適当な名前のファイルを作って、
モジュール DLL を置いてある ディレクトリ
をフルパスで書いた 1 行を追加します。
$ cd /var/lib/rebase/dynpath.d
$ touch tr-ime
$ echo '/usr/share/emacs/site-lisp/tr-ime' >> tr-ime
autorebase を手動で実行します。
$ /etc/postinstall/0p_000_autorebase.dash
ユーザ名 foobar
で、
モジュール DLL を置いてあるディレクトリを
/home/foobar/.emacs.d/site-lisp/tr-ime
として説明します。適宜お使いの環境に読み替えてください。
/var/lib/rebase/userpath.d
にユーザ名のファイルが無ければ作って、
モジュール DLL を置いてある ディレクトリ
をフルパスで書いた 1 行を追加します。
$ cd /var/lib/rebase/userpath.d
$ touch foobar
$ echo '/home/foobar/.emacs.d/site-lisp/tr-ime' >> tr-ime
autorebase を手動で実行します。
$ /etc/postinstall/0p_000_autorebase.dash
モジュール DLL のファイル名は、環境によって名前が異なり、
standard 用が tr-ime-mod-ABIバージョン-環境名.dll
で、
advanced 用が tr-ime-modadv-ABIバージョン-環境名.dll
のようになります。
具体的な環境名は以下の通りです。
これにより、例えば Cygwin 64 bit の場合の
モジュール DLL ファイル名は tr-ime-mod-1-x86_64-pc-cygwin.dll
および tr-ime-modadv-1-x86_64-pc-cygwin.dll
のようになります。
- Cygwin
- 64 bit:
x86_64-pc-cygwin
- 32 bit:
i686-pc-cygwin
- 64 bit:
- MinGW
- 64 bit:
x86_64-w64-mingw32
- 32 bit:
i686-w64-mingw32
- 64 bit:
なお、Emacs 28 で standard を使う場合、 standard 用モジュール DLL に実装した機能が既に Emacs 本体に取り込まれているため、モジュール DLL は不要です。 Emacs 28 でも advanced を使う場合はモジュール DLL が必要となります。
MELPA にはモジュール DLL のファイルが格納されていないため、
必要な DLL が load-path に見つからない場合、
DLL を自動でダウンロードする機能を用意しました。
これは (tr-ime-standard-install)
および (tr-ime-advanced-install)
で動作します。
必要な DLL が見つからない場合は、
ダウンロードするか否か尋ねます。
そこで y を入力するとファイルをダウンロードして、
tr-ime-download.el
が配置されているディレクトリに展開、
ハッシュを確認した上でロードします。
ダウンロードサイトにアクセスできることと、
ディレクトリの書き込み権限があることが必要です。
一度ダウンロードしたら、 そのディレクトリには load-path が通っているはずなので、 2 回目以降は DLL が見つかるようになり、 再度自動ダウンロードすることはないはずです。
ユーザに尋ねず、モジュール DLL が無ければ常に自動ダウンロードしたい場合には、
オプション引数に non-nil を指定してください。
(tr-ime-standard-install 'no-confirm)
または
(tr-ime-advanced-install 'no-confirm)
のようにすればよいです。
自動ダウンロードが嫌であれば、あらかじめ load-path 上に
必要なモジュール DLL を置いておくことで、
自動ダウンロードは動作しなくなります。
また、モジュール DLL が無くてもユーザに尋ねずにエラーにしたいのであれば、
(tr-ime-standard-install)
や (tr-ime-advanced-install)
の代わりに
(tr-ime-standard-initialize)
や (tr-ime-advanced-initialize)
を使えばよいです。
モジュール環境には IME パッチの動作をエミュレーションするものがあり、 その動作設定ができます。 基本的にはデフォルトのままで構わないと思います。
モジュールを使用する際のコア機能の設定です。 通常は設定変更しないでください。
IME パッチは、ウィンドウやバッファの状態が変更になったら、 特有のアブノーマルフックを呼ぶようになっており、 このフックによって w32-ime.el が IME/IM 状態の同期を行っています。 このフックは C 実装に直接手を入れて実現しているようですが、 モジュールでは実現困難です。
そこで Emacs の標準的なフックである window-selection-change-functions と window-buffer-change-functions を用いて、ウィンドウやバッファの変更を検出したらフックを呼ぶ、 というフックのエミュレーション機構を用意しました。 (Ver 0.3.0 までは post-command-hook と after-focus-change-function でエミュレーションしていましたが変更しました。)
以下の設定で無効にできます。デフォルトは有効です。
(custom-set-variables '(tr-ime-hook-p nil))
standard を使う場合に有効な設定です。 GNU Emacs 28 では IME パッチやモジュールが無くても、 本体だけで IME 状態の変更や確認ができる関数が用意されました。 ですが、IME 状態変更した直後に IME 状態確認すると、 状態変更前を示す返り値が得られることがあります。
そこで、状態変更後に何回か状態確認関数を呼んで、
変更の完了を確認するようにしており、その回数の上限を
tr-ime-openstatus-emacs28-open-check-counter
に設定できます(デフォルト 10
)。
この設定の上限回数が足りない場合は、 C-\ で IME on/off トグルしたときに、 モードラインの表示が切り替わらない現象が起きたり起きなくなったりします。 そういうときは、もっと大きい数を指定するとよいでしょう。
advanced では IME 状態の変更を監視する必要があって、 自前の状態変更関数を使用するため、本設定は使われません。
advanced のほとんどの機能は、メッセージフックとサブクラス化により Emacs のメッセージ処理を奪い取ることによって実現しています。 これらが有効でなければ機能しないだけではなく、 設定変更すらできないものが存在します。 特別な目的が無い限りはデフォルトの有効のままにしておいてください。
特別な目的があって無効にしたい場合は以下でできます。
(custom-set-variables '(tr-ime-subclassify-p nil))
GNU Emacs 27 や 28 の UI スレッドでは、 スレッドメッセージ(hwnd が NULL のメッセージ)がディスパッチされません。 これによって IME の動作に不具合が発生します (Windows 10 1909 の MS-IME で IME on/off してもタスクバーの IME 状態表示アイコンが変わらない等)。 そこで、モジュールのメッセージフックで Emacs の代わりに スレッドメッセージをディスパッチするようにしています。
tr-ime 0.4.x までは、すべてのスレッドメッセージをディスパッチしていましたが、 それだと将来の Emacs でスレッドメッセージをディスパッチするようになったら 一つのスレッドメッセージを二重にディスパッチすることになり、 Emacs の動作がおかしくなる危険性があります。 そこで tr-ime 0.5.0 よりスレッドメッセージでも WM_TIMER のみをディスパッチし、 さらにそれを WM_NULL にすり替えて握りつぶすことで将来の Emacs での二重ディスパッチを防ぐ方法を新設し、 デフォルト設定を変えました。
大抵の場合は tr-ime 0.5.0 の新方式で問題ないと思いますが、 問題が発生するようであれば tr-ime 0.4.x の旧方式に戻す設定も可能です。 ただし、将来の Emacs でスレッドメッセージをディスパッチするようになったら、 少なくとも旧方式は停止してください。 そうしないと、一つのスレッドメッセージを二重にディスパッチすることになり、 Emacs の動作がおかしくなると思います。
新方式を停止するのは以下でできます(デフォルトは有効)。
(custom-set-variables
'(tr-ime-thread-message-dispatch-wm-timer-p nil))
旧方式を有効にするには以下でできます (デフォルトは tr-ime 0.5.0 より無効、tr-ime 0.4.x までは有効)。 なお、新方式の設定が優先されるため、 新方式が有効だと本設定をしても旧方式は有効になりません。
(custom-set-variables '(tr-ime-thread-message-dispatch-p t))
技術的な背景を書いておきます。
Win32 のよくあるメッセージループのサンプル
はどんなメッセージであっても中身を見ずにディスパッチ
(DispatchMessage ()
を呼ぶ)しています。
Post されたメッセージはいったんこのメッセージループに現れ、
ディスパッチされることでウィンドウプロシージャ WindowProc ()
が呼ばれます
(Send されたメッセージはメッセージループに現れず直接 WindowProc ()
が呼ばれます)。
しかし、スレッドメッセージは post されるのでメッセージループには現れますが、
普通は WindowProc ()
が呼ばれません。
上記サンプルの説明にも
"If the window handle is NULL, DispatchMessage does nothing with the message."
と書いてあるように DispatchMessage ()
はスレッドメッセージに対して何もしない、ので
WindowProc ()
も呼ばれないということです。
WindowProc ()
は hwnd (ウィンドウハンドル)ごとに設定されるので、
hwnd が NULL のメッセージはどの WindowProc ()
を呼んだらいいのかわからないから、ということだと思います。
そういうこともあって
Emacs のメッセージループ
(Emacs 的にはメッセージポンプという名前)
はスレッドメッセージをディスパッチしないのだと思います。
しかし、例外がありました。
DispatchMessage () のドキュメント
には
"If the lpmsg parameter points to a WM_TIMER message
and the lParam parameter of the WM_TIMER message is not NULL,
lParam points to a function that is called instead of the window procedure."
とあります。メッセージが WM_TIMER
で lParam
が非 NULL だった時は
WindowProc ()
ではなく lParam
が指す関数
(タイマプロシージャ TimerProc ()
)を呼ぶ、ということです。
WM_TIMER のドキュメント
にも
"DispatchMessage will call the TimerProc callback function specified
in the call to the SetTimer function used to install the timer."
とあり、同様のことが書いてあります。
これはスレッドメッセージであっても WM_TIMER
の場合
DispatchMessage ()
は何もしないのではなくTimerProc ()
を呼ぶことがある、つまりスレッドメッセージをディスパッチしない場合は、
呼ばれるはずだった TimerProc ()
が呼ばれなくなってしまう、
ということになります。
恐らくこれが IME 不具合の真の原因ではないか、
IME はスレッドメッセージの WM_TIMER
を多用していて、
呼ばれるハズの TimerProc ()
が Emacs では呼ばれなくて
不具合が起きているのではないか、と考えています。
(UI スレッドで何か動かしたい場合は、
WM_TIMER
で TimerProc ()
を呼ばせるのが簡単確実と考えたのではないか、
とも思います。Emacs は見事にダメなわけですが。)
逆に言うと Emacs の IME 不具合対策としては WM_TIMER
だけディスパッチしてやり、
それ以外のスレッドメッセージはディスパッチしなくてもよいのではないか、
どうせディスパッチしても何もしないんだから、ということを考えました。
もちろん何も考えずにスレッドメッセージを全部ディスパッチしてしまう方が
楽なのは間違いないのですが、将来的に Emacs のメッセージポンプが修正されて
スレッドメッセージをディスパッチするようになったら、
二重にディスパッチされることになってしまい
Emacs の動作がおかしくなってしまいます
(設定で止められるようにはしてあるので止めればよいといえばよいのですが、
気づかずにそのままにしているとどうなるか)。
Emacs がディスパッチするか否かを検出して自動停止することも考えました。
しかし、スレッドメッセージはメッセージフック(WH_GETMESSAGE
でフックし
GetMsgProc ()
が呼ばれるもの)には現れますが、
WindowProc ()
が呼ばれないのでサブクラス化や他のフックには現れず、
二重か否かの判定ができません
(WM_TIMER
で TimerProc ()
を使えばできそうではありますが)。
それよりは WM_TIMER
だけディスパッチすればよいのであれば、
ディスパッチ後に WM_NULL
へすり替えて握りつぶしてしまえば
二重ディスパッチしておかしくなる危険性もなくなります。
(ただ、Emacs 27, 28 では無いですが、将来の Emacs 本体がスレッドメッセージの
WM_TIMER
を使うようになったらダメですね。
あとは、考えにくいですが他のメッセージフックしている何かが WM_TIMER
で何かすることがあるような場合もダメですね。)
さて、ここで Windows 10 21H1 日本語版で
「新しいバージョンの Microsoft IME」(Windows 10 2004 で導入されたもの)、
「以前のバージョンの Microsoft IME」(Windows 10 1909 までと同等のもの)
それぞれを使っていた場合に Emacs に対して
どのようなスレッドメッセージが来ているのか調べてみると、
Emacs 自身が使用するもの以外は WM_TIMER
と
RegisterWindowMessage ()
で登録された "MSUIM.Msg.Private"
の
2 種類だけのようでした。
(RegisterWindowMessage ()
の名前空間はナゼか他のものと共用なので、
メッセージが 0xc000 ~ 0xffff の場合は GetClipboardFormatName ()
で文字列化できます。)
WM_TIMER
はディスパッチするとして、
"MSUIM.Msg.Private"
は完全に謎のメッセージで、
どういう使い方をしているのかもわかりませんし、どう扱えばよいのかも不明です。
ただ、IME が無い英語モードでも飛んでくることがあるようなので、
何となく IME とは関係ないのではないかと推定できます。
なお IME は DefWindowProc ()
の先で
WM_IME_STARTCOMPOSITION
などを処理するために、
フックか何かを使っていると思われます。
しかし、スレッドメッセージである "MSUIM.Msg.Private"
は
WindowProc ()
が呼ばれないので DefWindowProc ()
が呼ばれることもなく、
その先で IME が処理しているとは考えにくいです。
DispatchMessage ()
API そのものをフックして
"MSUIM.Msg.Private"
を捕まえて処理する構成だったら、
ディスパッチしてやらないとおかしくなってしまいそうですが、
そんなことするよりはメッセージフックで捕まえる方が楽だと思いますし、
それなら "MSUIM.Msg.Private"
はディスパッチしなくても、
すり替えや握りつぶしをしなければ大丈夫、ということになります。
あとは DispatchMessage ()
は本当に WM_TIMER
以外の
スレッドメッセージに対して何もしないのか、についてです。
簡単なテストプログラムを作ってためしたところでは、
スレッドメッセージを DispatchMessage ()
した場合、
たとえスレッドにウィンドウが 1 つだけであっても
WindowProc ()
は呼ばれませんでした。
WindowProc ()
を経由せずに直接 DefWindowProc ()
を呼ぶ、とかだったりすると困ってしまいますが、それを確認するのは困難です。
一応、念のため Wine のソースで確認してみました。すると
DispatchMessageA ()
は WM_TIEMR
を、
DispatchMessageW ()
は WM_TIMER
と WM_SYSTIMER
を特別扱いして hwnd に関わらず
TimerProc ()
を呼んでいます。
それ以外で呼ばれる
NtUserDispatchMessage ()
からさらに呼ばれる
dispatch_message ()
とたどっていくと、WM_TIMER
と WM_SYSTIMER
以外の場合 hwnd が NULL
だと単に 0 を返すだけで何もしていないことがわかります。
つまり Wine なので本物ではないにしろ、想定と同様の処理になっていそうだ、
ということです。
なお、WM_SYSTIMER
はドキュメントに記載もありませんし、
飛んでくることもなさそうなのでディスパッチ対象にはしていません。
UI スレッドにきた通知を Lisp 側で受け取る機構です。
本機能の動作の仕組みとしては、まず
UI スレッドに Lisp 側へ通知すべきメッセージがきたら、
UI スレッドから Lisp スレッドへの本モジュール内部専用のキューに、
その旨のメッセージを格納してから WM_INPUTLANGCHANGE を post/send します。
これにより Lisp 側で language-change イベントが発生します。
このイベントを受けて advanced の C++ 実装のモジュールにある
tr-ime-modadv--language-change-handler
関数を呼びます。
この関数は内部専用キューからメッセージを取り出し、
その種類に応じてノーマルフックを呼び出すなどの動作を行います。
この中で、language-change イベントの発生を受けて、
tr-ime-modadv--language-change-handler
関数を呼ぶところについて、
以下のような設定を行っています。
(define-key special-event-map [language-change]
(lambda ()
(interactive)
(tr-ime-modadv--language-change-handler)))
本モジュールとは別の language-change イベントを使うツール類と
共存させたい場合は、上記設定をうまく調整してください。
本モジュールの tr-ime-modadv--language-change-handler
関数は、
内部専用キューが空であれば何もしませんので、
イベントが来たらとにかく呼ばれるようになっていればよいです。
他のツール類が発生させた language-change イベントの際に
一緒に呼んでしまって構いません。
本機能では、上記の通り UI スレッドにきた通知を Lisp 側へ通知する動作をしていますが、 これがかなり困難でした。 IME パッチは C 実装でメッセージ処理を追加して、 kanji キーのイベントという形で通知しているようです。 当初、これと同じような処理にするため、WM_KEYDOWN, WM_KEYUP で VK_KANJI を PostMessage する方法を思いついたのですが、修飾キーがあるとおかしくなり、 一筋縄ではいきませんでした。 一方、w32-imeadv は別プロセスを経由して通知するという かなり大がかりで複雑な機構を採用しています。 結局色々調べて、 ダイナミックモジュールの情報が集まったページ からリンクが貼られていた Asynchronous Requests from Emacs Dynamic Modules を参考に、 上記のような WM_INPUTLANGCHANGE による方法を実装しました。
この動作を無効にするには、以下のようにすればできます (デフォルトは有効)。
(custom-set-variables '(tr-ime-recv-notify-p nil))
確定済文字列にカーソルを置いて変換キーを押すと、 カーソルのあった場所の確定済文字列が未確定文字列になって、 再変換できるようになるという機能です。
本機能は、UI スレッドに WM_IME_REQUEST IMR_RECONVERTSTRING メッセージが来たら、内部専用キューにその旨を格納して Lisp に通知し、 Lisp 側でカーソル周辺の文字列やカーソル位置を収集して UI スレッドに通知し、 再変換の処理を始める、という通知の往復があります。 さらに、再変換処理中に、再変換に合わせてカーソルを移動させたり、 再変換前の確定済文字列を消したりといった動作が必要で、 これらも UI スレッドから Lisp への通知などをする、 かなり複雑な動作になっています。
この動作を無効にするには、以下のようにすればできます (デフォルトは有効)。
(custom-set-variables '(tr-ime-reconversion-p nil))
確定済文字列のあるところにカーソルを置いて文字を入力・変換すると、 カーソルのあった場所の確定済文字列によって変換候補が変わる機能です。 たとえば、通常は「いっぱつ」を変換すると「一発」が最初の候補に出ても、 「危機」の直後にカーソルがある状態だと「一髪」が最初の候補になる、 というものです。
本機能は、UI スレッドに WM_IME_REQUEST IMR_DOCUMENTFEED メッセージが来たら、内部専用キューにその旨を格納して Lisp に通知し、 Lisp 側でカーソル周辺の文字列やカーソル位置を収集して UI スレッドに通知し、 という通知の往復が必要で、かなり複雑な動作になっています。
この動作を無効にするには、以下のようにすればできます (デフォルトは有効)。
(custom-set-variables '(tr-ime-documentfeed-p nil))
IME パッチではフレームパラーメータの ime-font
設定を変更すると、
即座に未確定文字列フォントの設定に反映されます。
しかし、モジュールではフレームパラーメータの ime-font
設定と、
モジュール内にある低レベルの未確定文字列フォント設定は独立しており、
フレームパラメータを変更しただけでは設定反映できません。
そこで、フォーカス変更時あるいはコマンド実行後に、
フレームパラメータ設定を読み取ってモジュールの設定に反映させる、
ime-font 設定エミュレーションを用意しています。
モジュール内の低レベル設定は、スレッド毎の設定なのですが、 GNU Emacs 27 や 28 では、全フレームが同じ UI スレッドで動作しているので、 低レベル設定を一度すると事実上全フレームで設定したことと同じになります。 それに対してフレームパラメータはフレーム毎の設定なので、 デフォルトではフォーカス変更時に変更先フレームの フレームパラメータを元に、低レベル設定へ反映するようにしています。 ですが、全フレームで同じ設定になればよいということであれば、 一度設定したら設定エミュレーションを無効にしてもよいと思います。 逆に、フレーム単位よりももっと細かく設定を変えたい、 例えばウィンドウ単位で別々の設定にしたいとか、 フェイス毎に変えたいとかいうことであれば、post-command-hook を利用してコマンド実行後に反映させる設定も用意しています。
また、これらとは別のタイミングで反映したい場合には、 下記のように関数を呼ぶことで反映させることができます。 これはフォーカス変更後の反映やコマンド実行後の反映が両方とも無効でも、 この関数呼び出しによって即座に反映できます。
(tr-ime-font-reflect-frame-parameter)
フォーカス変更時の反映を無効にしたい場合は、以下でできます (デフォルトは有効)。
(custom-set-variables '(tr-ime-font-focus-p nil))
post-command-hook によるコマンド実行後の反映を有効にしたい場合は、 以下でできます(デフォルトは無効)。
(custom-set-variables '(tr-ime-font-post-command-p t))
standard だと C-s など isearch-mode の検索中、 未確定文字列はミニバッファの文字入力位置ではなくて、 検索開始前に元々入力していた位置に表示されてしまいます。 isearch-mode 時に選択されているウィンドウはミニバッファではないので、 ある意味では正しい挙動ではありますが、 確定するとミニバッファに表示されるので、 位置が食い違っていて使いにくいです。
advanced では IME パッチと同じように、 こうした未確定文字列をミニバッファの文字入力位置に表示できます。 ただし、実現方法が異なるので、微妙な動作の違いがあるかもしれません。
isearch-mode 中の位置設定を無効にするには、以下のようにすればできます (デフォルトは有効)。
(custom-set-variables '(tr-ime-isearch-p nil))
WM_IME_STARTCOMPOSITION ハンドラにおいて、 isearch-mode 中(未確定文字列ウィンドウの位置設定中)は DefSubcalssProc を呼ばず Emacs のメッセージ処理をスキップしています。 これは Emacs が未確定文字列ウィンドウの位置を isearch-mode に入る前の文字入力位置に設定してしまうためです。 しかし、何らかの理由で元の Emacs の処理に戻さなければならない時は、 本設定を non-nil にすることで isearch-mode 中であっても、 DefSubcalssProc により Emacs のメッセージ処理が必ず呼ばれるようになります。 その場合は Emacs の処理後に再度位置設定を行いますが、 未確定文字列ウィンドウがチラついて見えることがあります。 なお、isearch-mode 以外では本設定に関わらず、 常に DefSubcalssProc を呼んで Emacs のメッセージ処理が行われます。
何らかの理由で常に呼ぶようにするには、以下のようにすればできます (デフォルトは呼ばない)。
(custom-set-variables '(tr-ime-isearch-defsubclassproc-p t))
コマンドのキーシーケンスになる最初のキーである プレフィックスキー(C-x など)を検出すると、 自動的に IME off にして、コマンド終了後に IME 状態を戻します。 これにより IME on のまま C-x 1 のような操作をしたときに、 1 が IME に吸われて未確定文字扱いされないようにしています。
本来はプレフィックスキーが来たら呼ばれるフックなどがあればよいのですが、 残念ながら Emacs には存在しないようなので、 単純に以下で指定したプレフィックスキー検出リストに登録された キーが押下されたら(WM_KEYDOWN メッセージが来たら)IME off にして、 pre-command-hook で IME 状態を戻す処理をしています。
standard 向けにタイマを使って同様の機能を実現したワークアラウンドがありますが、 advanced の本機能はタイマを使わないためタイミング的にも負荷的にも有利です。 本機能を有効にすると standard のワークアラウンドによる プレフィックスキー検出は無効になります。
検出リストは以下のように プレフィックスキーとして検出したいコードのリストとして設定できます (standard 向けワークアラウンドの設定方法とはコード体系が異なります)。
(custom-set-variables '(tr-ime-prefix-key-list
'(#x20058 #x20048 #x20043 #x1b)))
コードは、上位 16 bit が修飾キー、
下位 16 bit が修飾されるキーのバーチャルキーコードを指定します。
修飾キーは Shift (#x10000), Ctrl (#x20000), Alt (#x40000) の
ビット論理和で指定します。
バーチャルキーコードは Windows のもの(VK_*
などの値)を指定します。
例えば C-x は Ctrl の修飾キー #x20000 と、 X キーのバーチャルキーコード #x58 のビット論理和なので #x20058 を指定します。 C-M-x であれば、さらに Alt の修飾キーを含めて #x60058 を指定します。 上記の例では、C-x, C-h, C-c, ESC を指定したものとなっています。
プレフィックスキー検出を無効にするには、以下のようにすればできます (デフォルトは有効)。
(custom-set-variables '(tr-ime-prefix-key-p nil))
Emacs 側トリガ(C-\ やウィンドウ・バッファの切り替えなど)だけでなく、 IME 側トリガ(半角/全角キーやマウスでの切り替えなど)も含め、 IME 状態が変更されたら WM_IME_NOTIFY IMN_SETOPENSTATUS が送られてきます。この通知を受けて IM 状態を同期させます。
standard 向けにタイマを使って IME 状態の食い違いを検出して修正するワークアラウンドがありますが、 advanced の本機能はタイマを使わないためタイミング的にも負荷的にも有利です。 本機能を有効にすると standard のワークアラウンドによる 食い違い検出は無効になります。
本機能は、
UI スレッドに WM_IME_NOTIFY IMN_SETOPENSTATUS がきたら、
UI スレッドからの通知を Lisp で受け取る機構を利用して
setopenstatus を内部専用キューに格納して通知し、
tr-ime-modadv--language-change-handler
関数が、
内部専用キューから setopenstatus を受け取ると、
ノーマルフック tr-ime-sync--setopenstatus
を呼び出し、
そこで一連の IME/IM 同期の動作が行われるようになっています。
IME 状態変更通知による IM 状態同期を無効にするには、 以下のようにすればできます(デフォルトは有効)。
(custom-set-variables '(tr-ime-sync-p nil))
モジュールの構成上どうにもならない機能を、 Lisp でタイマを使ってなんとかしているものです。 モジュールの高機能化によって不要になるものもあります。
advanced で isearch-mode 時に Alt + 半角/全角キー操作をすると、 なぜかエコーエリアが消えてしまいます。 キー操作時に再表示させるようにしても効果が無い (恐らくキー操作後にくるイベントか何かで消されている)ので、 Emacs がアイドル状態になったら動作するタイマで再表示させる ワークアラウンドを用意しました。 このタイマは Alt + 半角/全角キー操作 1 回につき 1 回だけ動作し、 繰り返し動作はしません。
standard を使う場合は問題ありません。 advanced でも C-\ や半角/全角単独など、他の方法で IME on/off する場合は問題ありません。 Alt + 半角/全角キー操作はしないとか、 エコーエリアが消えても問題ないという場合は 以下の設定で無効にできます。
(custom-set-variables
'(tr-ime-workaround-isearch-delayed-update-p nil))
Alt + 半角/全角キー操作後に、
アイドル状態になってから再表示するまでの待ち時間(秒)が
tr-ime-workaround-isearch-delayed-update-time
に設定できます(デフォルト 0.0001)。
IME 側トリガの状態変更(半角/全角キーやマウスでの切り替え) を検出して IM 側を同期させるための機構です。
advanced ではもっと筋が良い対応ができるため、そちらを使えば不要ですが、 standard を使いたい場合に ワークアラウンドとして、 定期的に動くタイマでポーリングし、 IME と IM の状態が食い違ったら IM 状態を反転して一致させる、 という機構を用意しました。
定期的なタイマで動作するため、 負荷が気になるようでしたら以下の設定で無効にできます。 デフォルトは standard の時のみ有効です。
(custom-set-variables '(tr-ime-workaround-inconsistent-p nil))
IME 状態食い違い検出修正用ポーリング時間(秒)が
tr-ime-workaround-inconsistentent-polling-time
に設定できます(デフォルト 1.0
)。
コマンドのキーシーケンスになる最初のキーである プレフィックスキー(C-x など)を検出すると、 自動的に IME off にする機能です。 これにより IME on のまま C-x 1 のような操作をしたときに、 1 が IME に吸われて未確定文字扱いされなくなります。
advanced ではもっと筋が良い対応ができているため不要ですが、 standard を使いたい場合に ワークアラウンドとして、 Emacs がアイドル状態になったら動くタイマでポーリングし、 プレフィックスキーが押されていたら IME off にし、 pre-command-hook で IME を復帰させる、という機構を残してあります。
以下の設定で無効にできます。デフォルトは standard の時のみ有効です。
(custom-set-variables '(tr-ime-workaround-prefix-key-p nil))
プレフィックスキー検出用ポーリング時間(秒)が
tr-ime-workaround-prefix-key-polling-time
に設定できます(デフォルト 0.1
)。
プレフィックスキー検出検出対象リストが
tr-ime-workaround-prefix-key-list
に設定できます(デフォルト '(?\C-x ?\C-h ?\C-c ?\e)
、
C-x, C-h, C-c と ESC です)。
standard, advanced ともに Win32 API の OutputDebugString を使って、 デバッグメッセージの出力をしています。 advanced では出力するレベルを変更することができます。
ほぼ何も出力しないようにしたいなら以下を実行してください。
(custom-set-variables '(tr-ime-debug-verbose-level 0))
API の失敗などを出力するなら以下を実行してください。
(custom-set-variables '(tr-ime-debug-verbose-level 3))
さらに詳細なデバッグ情報も出力するなら以下を実行してください。
(custom-set-variables '(tr-ime-debug-verbose-level 5))
以上の設定では編集中や入力中の文字列はデバッグ出力に含まれません。 再変換や確定済文字列を利用した変換などで、 編集中や入力中の文字列も含んだデバッグ情報も出力したいなら、 以下を実行してください。
(custom-set-variables '(tr-ime-debug-verbose-level 6))
バイナリリリースのデフォルトは 5 にしてあります。
MELPA を使わずにバイナリリリースを使う場合は、
リリース
にあるバイナリ配布ファイル
(ファイル名が tr-ime-VERSION-binary.zip
になっているファイル)
をダウンロードして、中に入っているモジュール DLL ファイルと、
モジュールのヘルパとなる Lisp 実装である拡張子 .el
のファイルを Emacs の load-path が通っているディレクトリに置いてください。
なお、バージョンによってファイル名や設定方法などが異なるので、
バイナリリリースを使う場合には、
zip に同梱されているドキュメントの方をご覧ください。
ご自分でビルドしてみたい場合は、後述の「ビルド」をご覧ください。
また、設定は MELPA を使った場合とほぼ同じですが、
MELPA で自動的に設定される autoload がないので、
(tr-ime-standard-install)
や (tr-ime-advanced-install)
などの前に (require 'tr-ime)
をしてください。
ビルドするには動作環境に加えて以下が必要になります。 Cygwin の Emacs で使うならば Cygwin 環境で、 GNU 公式バイナリなどの MinGW の Emacs で使うなら MinGW 環境で、 それぞれ揃えてください。
- C++14 対応コンパイラ、C99 対応コンパイラ
- 最近の GCC など
- Autotools (autoconf, automake, libtool)
以下のようにすればビルドできます。
インストール先に応じて --prefix
オプションの値を変えてください。
リリース
にあるソース配布ファイル
(ファイル名が tr-ime-VERSION.tar.gz
のファイル)
を使うのであれば ./autogen.sh
の実行は不要です。
$ ./autogen.sh
$ mkdir build
$ cd build
$ ../configure --prefix=/usr
$ make
Cygwin 環境で MinGW 用バイナリをクロスコンパイルしたいような場合には、
$ ./autogen.sh
$ mkdir build
$ cd build
$ ../configure --host=x86_64-w64-mingw32
$ make
のような感じでやればできます。オプションは適宜変更してください。
その後は以下のようにしてインストールできます
(同時に strip したい場合は install
の代わりに install-strip
を使えばできます)。
$ make install
自分でビルドした場合には w32-ime.el がインストールされませんので、 MELPA の w32-ime パッケージ をインストールするか、w32-ime.el を load-path 上に置いてください。
バイナリリリースは以下の方法でビルドしたものです。
いずれも、Cygwin 64 bit / 32 bit の環境で、ソース配布ファイル tr-ime-VERSION.tar.gz を使って以下のようにしてビルドしました。
$ tar xfvz tr-ime-VERSION.tar.gz
$ cd tr-ime-VERSION
$ mkdir build
$ cd build
$ ../configure --prefix=/usr
$ make
$ make install-strip DESTDIR=`pwd`/tmp
Cygwin 64 bit 環境でクロスコンパイルしました。 また、libstdc++ などを静的リンクするために小細工をしています。 (本当は GNU 公式バイナリの libstdc++-6.dll をそのまま使えるようにしたかったのですが、 GCC のバージョンを下げてみるなどしてもうまくいかず…。 Emacs の bin フォルダにある libstdc++-6.dll を最新のものに置き換えれば 小細工しなくても動くのですが、それはそれで面倒だろうなと思いまして。 また、小細工ではなく、正攻法で静的リンクしたかったのですが、 そもそも DLL を作る際に、 使用するライブラリを静的リンクすることは考慮されていないみたいで、 どうにもなりませんでした。)
$ tar xfvz tr-ime-VERSION.tar.gz
$ cd tr-ime-VERSION
$ mkdir build
$ cd build
$ ../configure --host=x86_64-w64-mingw32
$ sed -i -e '/^archive_cmds=/s/\\$deplibs/-Wl,-Bstatic,-lstdc++,-lgcc,-lgcc_eh,-Bdynamic \\$deplibs/' \
-e '/^postdeps=/s/-lgcc_s /-lgcc_eh /g' \
libtool
$ make
$ make install-strip DESTDIR=`pwd`/tmp
なお、libwinpthread-1.dll は必要になっていますが、 GNU 公式バイナリの依存関係の中に入っているものが使えるので、 そのままで大丈夫のハズです。 (いっそ libwinpthread-1.dll も静的リンクしようかと思ったのですが、 残念ながらどうやってもうまくいかず…。 これも「DLL を作る際に、 使用するライブラリを静的リンクすることは考慮されていない」感じですし、 もしかしたらスレッドローカルストレージ (TLS) 関連の処理のために DLL でなければならないとかの理由もあるのかもしれません。)
MinGW 32 bit の場合は --host=x86_64-w64-mingw32
のところを --host=i686-w64-mingw32
に変えただけです。
わかっているだけで以下のような制約があります。
- advanced で isearch-mode 時に Alt + 半角/全角で IME on/off すると
エコーエリアの表示が消えてしまう
- ワークアラウンドでなんとかしています
- 未確定文字列フォントの設定 (advanced) で generic ファミリは使用不可
- 無いと困るという方はいらっしゃいますか?どのような使い方でしょうか?
- 単語登録の機能が使えません
- IME パッチの C 実装関数
w32-ime-register-word-dialog
を実装していないため、w32-ime.el のw32-ime-toroku-region
が使えません
- IME パッチの C 実装関数
- 変換モード設定関数が使えません
- IME パッチの C 実装関数
w32-set-ime-mode
を実装していません
- IME パッチの C 実装関数
以下は、IME パッチでも発生する事象で、 これまでに気が付いたものです。
- 「IME 入力モード切替の通知(画面中央に大きく「あ」とか「A」とか出るもの)」
が C-\ で切り替えると出ない
- Windows 10 1909 で確認
- Windows 10 2004 以降で「新しいバージョンの Microsoft IME」 (デフォルト)を使用している場合は、 そもそもこのような通知が出なくなったので、関係ありません
- Windows 10 2004 以降でも「以前のバージョンの Microsoft IME」 を使用している場合は Windows 10 1909 と同様です
- Alt + 半角/全角や半角/全角だと出ます
- マウス操作などでウィンドウ(Emacs でいうフレーム)を切り替えたとき、
最後に「IME 入力モード切替の通知」された状態と、
(切り替え先ウィンドウの) IME 状態が異なったら、その時には出ます
- 溜まっていたのがウィンドウ切り替えをトリガに出てくるイメージ?
- 最後に「IME 入力モード切替の通知」された状態と同じだったら出ません
- ユーザ操作起因の切り替えの場合は出すが、
アプリ内部で自動的に切り替えた場合には出さない、
というロジックになっているのかもしれません
- C-\ も Emacs のユーザ操作ではありますが、 Windows 的にはアプリ内部の切り替えと区別が付かないと思います
- Windows 10 1909 で確認
- バッファごとに IME/IM 状態を切り替える設定(w32-ime-buffer-switch-p が t)
で使っている時に、IME on のバッファがあるフレームと
IME off のバッファがあるフレームを交互にクリックすると、
フレームが切り替わった時に出る「IME 入力モード切替の通知」が
実際の IME 状態とは逆になる
- Windows 10 1909 で確認
- Windows 10 2004 以降で「新しいバージョンの Microsoft IME」 (デフォルト)を使用している場合は、 そもそもこのような通知が出なくなったので、関係ありません
- Windows 10 2004 以降でも「以前のバージョンの Microsoft IME」 を使用している場合は Windows 10 1909 と同様です
- 「IME 入力モード切替の通知」がおかしいだけで、 モードラインには正しく出ます
- 恐らく、フレームを切り替えた瞬間、同じプロセスなので切り替え前の IME 状態が引き継がれて「IME 入力モード切替の通知」に表示され、 その直後、バッファに紐づいた IM 状態が IME 状態と異なるため IME 状態が変更されるが、これがアプリ内部処理とみなされて 「IME 入力モード切替の通知」には表示されず溜まってしまい、 次にフレームを切り替えた瞬間…、 というのが交互に発生しているものと思います
- Windows 10 1909 で確認
- タスクバーの通知領域にある IME アイコンを左クリックして IME off すると
Emacs が IME off を認識しない
- Windows 10 21H1 で確認(もしかしたら Windows 10 2004 から?)
- 「新しいバージョンの Microsoft IME」 (デフォルト)を使用している場合に発生します
- 「以前のバージョンの Microsoft IME」 を使用している場合は問題ありません
- 通知領域の IME アイコンが IME off を意味する「A」になりますが、 モードラインは IME on のまま(Emacs が IME off を認識していない)で、 キー入力すると IME off の動作になります
- この状態のときに API で IME 状態を問い合わせると IME on という
結果が返ってきますが、動作上は IME off になっており食い違っています
- WM_IME_NOTIFY IMN_SETOPENSTATUS も送られてきません
- 一度この状態に陥るとなぜか Emacs 側からの IME on/off が機能しなくなり、
C-\ (toggle-input-method) での IME on/off ができなくなります
- その他の方法で IME on する(「半角/全角」キー単独、 Alt +半角/全角キー、IME アイコンのクリックなど)と正常に戻ります
- 他の方法(キーボード操作や IME アイコンを右クリックして 「半角英数字/直接入力」を選ぶなど)で IME off する場合は問題ありません
- Windows 10 21H1 で確認(もしかしたら Windows 10 2004 から?)
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